ゼロから学ぶクレジットカード
はじめに
みなさんはクレジットカードって使っていますか?なんとなく怖いから使っていない。クレカをたくさん使ってマイルを貯めている。などなど読者の皆様の中でも様々な方がいると思います。個人的には現金払いより、クレジットカード決済のほうが色々とメリットも多く絶対的にオトクだと思っています。この記事では知ってるようで知らない、学校で学ばないクレジットカードの知識をできるだけわかりやすく解説したいと思います。
日本と海外のクレジットカード事情
一般社団法人日本クレジット協会の調べによると、日本国内では平成27年3月末の時点で2億5,890万枚ものクレジットカードが発行されています。
総務省「人口総計」平成27年3月1日現在の 20 歳以上の総人口は1億474万人なので成人人口比では、1 人当たりおよそ 2.5 枚所有していることになります。一方でクレジット大国のアメリカでの一人あたりのクレジットカード保有枚数は2.7枚前後と言われています。実は日本のクレジットカード保有枚数はアメリカと大差がないのです。
一人あたりの保有枚数はアメリカに比べ遜色がないのですが、利用率は低いというデータがあります。アメリカのカード使用率は34%程度に対し日本のカード使用率は16%程度とおよそ倍の開きがあります。つまり日本国内では持っているだけで使っていない方が多いということですね。
出典:http://www.jcca-office.gr.jp/visit/26_report.pdf
クレジットカードの仕組み
クレジットの意味を辞書で調べると英語で【信用・信頼】と書いてあります。まさにその言葉の通り、クレジットカードとは私達利用者の信用に基づき発行・使用されるカードなのです。クレジットカードの仕組みをわかりやすくイラストで示すと以下のようになります。
左側の男性が消費者、真ん中がお店、右側のビルはクレジットカード会社だと思ってください。
①私達消費者がクレジットカードを使用し、お店で商品やサービスを購入します。クレジットカードを使用することにより、この時点での現金の支出はありません。
②消費者の購入代金から加盟店手数料(カード会社によりますが、およそ購入代金の5%前後)が引かれた金額をクレジットカード会社が建て替えます。ここで、お店は商品の対価として現金が、カード会社は手数料が入ります。カード会社はこのお店から入る手数料が儲けとなります。
③商品・サービスの購入代金の支払いとして指定口座から現金が引き落とされます。
以上がクレジットカード決済の主な流れとなります。
消費者は現金を持ち歩かなくて良い上ポイントがつく、お店は加盟店手数料を支払う代わりに、消費者の利便性が増すため売上が増える、カード発行会社は購入代金の建て替えと回収を行い、手数料が入る。クレジットカード決済はそれぞれにメリットのある決済方法とも言えるのです。
カード会社は後日、建替代金が支払われるという私達消費者への信用があるためクレジットカードを発行し、消費者の購入代金を建て替えているのです。
国際ブランドとカード発行会社の違い
普段クレジットカードを利用していてもあまり意識することはないのですが、クレジットカードには国際ブランドと発行会社という区別があります。
マスターカードやVISA、JCB等街でもよく見かけますよね?これらが国際ブランドと呼ばれるものです。上の画像は5大国際ブランドと呼ばれるものです。それに中国銀聯(ちゅうごくぎんれん)とディスカバー(Discover)を加えた計7社がすべての国際ブランドです。
では発行会社とはどんなものでしょうか。具体例として以下の画像を見てみましょう。
上のカードの場合国際ブランドはマスターカード、発行会社は楽天になります。国際ブランドと発行会社の違いは両者の業務を知ればわかりやすいと思います。
国際ブランドは世界中にカード決済の仕組みを提供します。その国際ブランドからライセンスを借りて、請求書を発行したり、ポイントサービスを行うのがカード発行会社の業務となります。上記のカードで言えば、楽天から請求書が届き、利用額に応じて楽天ポイントが付きます。
国際ブランドと発行会社の区別の例として、決済システムを提供している国際ブランドがマスターカードしか使えないお店はありますが、発行会社である楽天カードしか使えないお店はないという事です。
なお、例外としてアメリカンエキスプレスカードやダイナースカードなど、国際ブランドが発行会社を兼ねる【プロパーカード】と呼ばれるカードもあります。
※なお、さらに細かく分けると加盟店業務を取り扱うアクワイアラーという区別もあるのですが普段クレジットカード利用する際、そこまで意識する必要はないのでここでは割愛します。興味を持たれた方は、【アクワイアラー】で検索してみてください。
ショッピング枠とキャッシング枠とは?
同じクレジットカードでもAさんは月30万円までしか利用できないが、Bさんは50万円まで利用できる、このように個人個人によって【利用限度枠】が決まっています。基本的には、この【利用限度枠】がイコール【ショッピング枠】です。これが毎月お買い物で利用できる金額となります。【利用限度枠】は個々の信用によって決定されます。
次に【キャッシング枠】を見てみましょう。【キャッシング枠】とはその名の通り、現金を借りられる金額です。
そして【ショッピング枠】と【キャッシング枠】は別々に存在しているのではなく、【キャッシング枠】は【ショッピング枠】に内包されています。
イメージとしてはこんなカンジです。
具体的に数字の例をあげると【ショッピング枠】50万円で【キャッシング枠】が30万円のカードあるとします。日々のお買い物で30万円利用すると、たとえ【キャッシング枠】が30万円あっても、借りられる額は20万円までとなります。
反対に【キャッシング】で20万円借りると、毎月の【ショッピング】では30万円までしか使用できないとも言えます。
また、キャッシングにはほぼどのクレジットカードでも利息制限法によって決められた金利上限額の18%の利息が設定されています。10万円キャッシングすると、10万円×18%÷365日で一日およそ50円の利息がついてきます。月にすると1500円の金利になります。けっこう馬鹿にならない金額だと思いませんか?キャッシングはとても便利ですが、使用する際は金利のことも念頭に置いて、気をつけて利用しましょう。
様々な支払い方法
クレジットカードの支払い方法には一括払いとボーナス払い、分割払い、リボ払いなど様々な方法があります。それぞれの特徴を見てみましょう。
【一括払い】は金利手数料は発生しません。使用した翌月あるいは翌々月に利用した金額を文字通り一括で支払うものです。マンスリークリアとも呼ばれ、
特徴としては
・利用した金額を把握しやすく、管理がしやすい事です。
次に【ボーナス払い】です。こちらも一括払いの一種です。一括払い同様に金利手数料は発生しません。夏と冬のボーナス払いがあり、支払日は利用した日によって決まります。カード会社によって多少の違いはありますが、例えば12月16日から6月15日に利用すると、8月の支払い、7月16日から11月15日の利用分は1月の支払いとなります。6月16日〜7月15日と11月16日〜12月15日の期間は利用できません。
特徴としては
・ボーナスがない仕事でも利用できる。
・長いと7ヶ月程先まで支払いを先延ばしにできる。
・毎月のキャッシュ(現金)に影響がない。
・高額な商品を購入しても金利手数料がかからない。
・支払いが終わるまでショッピング枠が減ったまま。
・海外では選べない。国内でも店舗によっては利用できない。
次に【分割払い】です。分割払いの定義は【二ヶ月以上に渡る支払いによるもの】です。分割回数はカードにもよりますが2回から24回が多いです。一般的に2回払いまでは金利手数料が発生しないものが多く、それ以上の分割回数になると金利手数料が発生します。分割回数が増えるほど当然毎月の支払額は減りますが、その分金利手数料も多く発生しますので最終的な総支払額は増えます。
特徴としては
・2回払いまでは金利手数料無料。それ以上の回数は金利手数料が発生。
・毎月の支払額が調整可能
・毎月の支払い分だけショッピング枠が回復。
【リボ払い】も分割払いの一種になります。購入した商品の金額に関係なく、毎月設定した一定の金額(ミニマムペイメント)を支払うというものです。こちらも金利手数料が発生します。例えばミニマムペイメントを1万円に設定していると、10万円分利用しても、毎月の支払いは1万円まで、ということになります。なんだか分割払いと似たようなカンジがするかもしれませんが、大きな違いは
分割払いは商品ごとの支払い、リボ払いは利用総額での支払いであることです。
例えば分割払いですと、商品A(5万円)は6回払い、商品B(10万円)は12回払いという様に設定できるのに対し、リボ払いは5万円+10万円の総利用額15万円に対しての支払いになるのです。リボ払いはカードに対して支払い方法を設定するというイメージです。
リボ払いの特徴としては
・毎月の支払額が一定
・支払額の増額、早期繰り上げ返済も可能
・商品ごとでなく金利手数料は総利用額に対して設定される。
・金利手数料は総利用額に対して設定される。
・何に対しいくら払っているのか支払状況がわかりにくい。
・支払期間が長期に及びがち。
個人的にリボ払いは安易に使用しないほうが良いと思います。詳しくは次の章で。
結局どの方法が一番オトクなの?
単純に金利手数料がかかならい方法を選べば問題ありません。その中で毎月のお金管理があまり得意でない方は一括払いか2回払いを利用。
ボーナス払いを選択すれば、その分毎月利用できるキャッシュが減らないので機会損失が少なくなります。お金管理が得意な方はボーナス払いと一括払いか2回払いを併用していくのがオトクです。
金利手数料が発生する分割払いは緊急の時以外は利用しないのが得策です。数字でつかみやすいように分割払いとリボ払いの金利手数料を 表にしてみました。
以下12万円の商品を金利15%で6回払いで購入したシュミレーションです。
分割払い | 内訳 | リボ払い | 内訳 | |||
6回払い | 元金 | 金利手数料 | (2万円定額) | 元金 | 金利手数料 | |
1回目 | 20,666 | 19,384 | 1,282 | 20,000 | 18,500 | 1,500 |
2回目 | 20,883 | 19,626 | 1,257 | 20,000 | 18,732 | 1,268 |
3回目 | 20,883 | 19,871 | 1,012 | 20,000 | 18,966 | 1,034 |
4回目 | 20,883 | 20,120 | 763 | 20,000 | 19,203 | 797 |
5回目 | 20,883 | 20,371 | 512 | 20,000 | 19,443 | 557 |
6回目 | 20,885 | 20,628 | 257 | 20,000 | 19,686 | 314 |
7回目(残額) | 5,538 | 5,470 | 68 | |||
総支払額 | 125,083 | 120,000 | 5,083 | 125,538 | 120,000 | 5,470 |
分割でもリボ払いでも5千円近く手数料として支払う事になります。これは結構もったいないのではないでしょうか。分割払いは商品がすぐに手に入るメリットとその分多くかかる手数料を天秤にかけて利用しましょう。
また、分割払いの回数がそれほど多くないのであればボーナス払いを選択したほうがお得です。毎月分割払いをしたと思って、その分ボーナス払いの支払日に合わせて貯金すれば、分割払いに比べ、丸々金利手数料分がオトクになります。
今回のシュミレーションでは12万円の商品1品だけでしたが、実際の生活では7回目の支払いまでの期間にも様々な商品を購入します。リボ払い以外ですとその都度、金利手数料の掛からない一括払いや、2回払いを選択できるのですが、上でも書いたようにリボ払いは総利用額に対しての支払いです。つまり今回のシュミレーションですと、毎月の生活で2万円以上使い続けていれば、2万円のミニマムペメントのうち元金部分は減り金利手数料分だけがどんどん増え続けるのです。
よくリボ払いが怖いと言われるのはこの部分なのです!
クレジットヒストリー(信用情報)って?
クレジットカードの仕組みでも見てもらったとおり、消費者への信用によりクレジット決済は成り立っています。
毎月きちんと支払いがあれば信用が増え、利用できる限度額も増えますし、当然期日に引き落としができなければ、この人は信用できないなとなり、信用がなくなればカード停止、悪質な場合銀行のローンが組めなくなります。
そういった個人の信用情報が日本では
・JICC(株式会社 日本信用情報機構)
・CIC(株式会社シー・アイ・シー)
・全国銀行個人信用情報センター
という3つの信用情報機関があり、保存されています。なお、国内の金融機関はいずれかの信用情報機関に必ず加盟しています。クレジットカードの支払いだけでなく、携帯電話本体の実質0円なども実際は割賦販売なので信用情報機関に記録されています。
基本的にどの金融機関も自分が加盟している信用情報機関の情報しか見れないのですが事故情報、つまり繰り返しの延滞や遅延などのクレジットヒストリー(信用情報)に傷がついている情報は共有されています。これがいわゆるブラックリストと呼ばれているものです。
ちなみに個人でも自分の信用情報を調べることは可能です。1,000円で情報開示できるので、もし興味のある方は以下のリンクを参照にしてみてください。
普通に使用していてブラックリストに載ることはまずありません。きちんと利用した金額を期日に支払えば、むしろクレジットヒストリーが積み重なり基本的には信用は増えていきます。アメリカなどではこのクレジットヒストリーがとっても大切で、就職等に影響するとも言われています。
クレジットカードを使うメリットとデメリット
最後にクレジットカードのメリットとデメリットをまとめます。
まずはメリットからです。
・毎月利用した金額がわかるためお金の管理がしやすく無駄遣いが減る。
現金で購入したレシートを取っておいて家計簿をつけるのって結構手間ですよね。クレジットカードなら利用した都度、ウェブ上に明細が上がるので毎月の利用額も把握できますし、金銭管理がカンタンにできます。
・ポイントサービス
現金と異なり購入金額のだいたい1〜2%くらいがポイントとして付与され、現金やマイルに交換できます。現金で購入するよりポイント分が丸々オトクになります。
還元率やポイントの交換先マイルなどがカードによって異なるのでどのカードのポイントを貯めるかが重要です。
・自動付帯保険
旅行中の病気や怪我、盗難の保険、他にも購入した商品が壊れてしまった際の保険や
飛行機などが遅延した時の金銭保証やカードを不正利用された場合の保証など。様々な保険が自動付帯されます。
金額やサービスはカードによって異なるため、一度、お手持ちのカードを確認してみてください。
・現金紛失の心配がない
カードを落としてもすぐストップでき、万が一不正利用されても金銭保証がきくカードがほとんどです。多額の現金を持ち歩かなくてお財布もスマートになる上、安心安全です。
・ネット通販で手数料がいらない
カード払いであれば振込手数料や代引き手数料がかかりません。
・カード会社独自のサービス
空港のラウンジが使用できたり、旅行時に手荷物の郵送サービス、スポーツジムやショッピングセンター、レストランなど各種提携先の割引や優待などがあります。
このサービスもカードによって千差万別なのでカードを作る際は要チェックです。
最後にデメリットですが、財布の中身が減らずに商品やサービスが手に入るため、気をつけないと使いすぎることです。次回支払いが大変なことになります。ですが、この点だけ気をつけて使用すれば、クレジットカードは現金に比べ多大なメリットがあります。しっかりとお金の管理をし、快適なクレカライフをお送りください。